資産運用の基本

【リスクとリターン】

運用を検討するにあたり、ポイントとなるのは「リスクとリターン」のバランスです。
極めて大雑把に言えば、「ハイリスクなものはハイリターン」であり「ローリスクなものはローリターン」です。
これは運用に当たっての定理です。「リターンが極めて大きく、リスクが極めて少ない」ものなどある訳がありません。
もしあれば、全員がそれを実行しています。この点は運用検討の大前提となりますので必ず押さえておいて下さい。

ただ、リスクとリターンの関係はそんな単純な話ではありません。
リスクをコントロールする方法、リスク幅を勘案しながらリターンを最大限大きくして行く方法、これらを検討して行く必要があります。
何を対象に運用するか、どのような期間運用するか、どのような方法で運用するか、これらを検討して行くことが課題となります。

【金融資産運用の基本】

金融資産運用として、代表的な株式運用を検討してみます。
公社債運用は、基本的にローリスクですが、ローリターンです。
預金の利率に絶望されている方には安全な運用としてお勧めいたしますが、これはあまりに安全重視の運用と言えます。
一方、先物取引・FX等はリスクが大きすぎます。リスク許容範囲がとてつもなく大きな方のみが対象になると言えます。
そうなると、金融資産運用でも現実的な運用として検討の中心となるのは「株式投資」ということになります。

株式の利益としては、インカムゲイン(配当)とキャピタルゲイン(売買による利益)があります。
一般的にはキャピタルゲインが注目されますが、これは不動産運用でインカムゲイン(家賃収入)が注目されることと対照的です。
株式投資は少額で始めることが出来、基本的には換金性もあり、税金の面も明快です(分離課税)。この点は株式投資が手軽に始められるメリットです。
一方、株式運用の方法は様々ですが、基本的には長期投資と短期投資に集約されます。
別な切り口で「ファンダメンタル派」と「テクニカル派」という区分けもありますが、これはほぼ、「長期投資」と「短期投資」と重なります。
即ち、企業の財務内容を分析し、利益を生み出し続ける企業の株式を長期に持ち続けることがファンダメンタル派(長期運用)であり、一方、日々の株価の動きを注視し、経験と感性を根拠に瞬間的な取引を行うものがテクニカル派(短期運用)です。
短期運用の代表はデイトレードであり、勿論これで大きな利益を上げている方もいらっしゃいます。
ただ、感性に頼る短期投資のリスクが大きいことは言うまでもありませんが、長期運用の場合のリスクとリターンはどうでしょうか。

【金融資産運用の限界】

株式の長期運用に纏わるリスクには以下の何点かが考えられます。

①企業の分析等については、証券会社の担当者、その他の業者のアドバイスが欲しくなります。
ただ、証券会社等の目的は、株式を売買した時の手数料収入です。彼らの勧誘を無視し、自分の信念を持って銘柄の選定を維持できるでしょうか。

②株式長期運用は、高配当株・成長株に対して投資をし、何年も待ち続ける自信があれば結果的には大きな成果を得ることが可能です。
ただ、その銘柄が大きく成長したことは、結果論として何年も後で証明されることであり、この方法は、既に大きな資産をお持ちの方がさらに大きな収益を、周りの動きに惑わされずに求める時にのみ有効と思われます。

③株式投資のリスクを軽減する方法はあります。そのためには金融リテラシーを身に着けることが前提となります。
その上で、分散投資によりポートフォリオ構築を行うことです。これは確実に株式投資のリスクを軽減します。
ただ、ここで考えて下さい。リスクを軽減することは、必ずリターンを減らすことに繋がります。
ポートフォリオ構築の中での積極投資を行うことは勿論可能です。ただ、この場合の積極投資というのはどうしても外国株式・外国債券等が対象となる訳であり、正に、カントリーリスク・価格変動リスク・為替リスクと直面することとなります。
一言で言えば、株式投資においては、ハイリスク・ハイリターンかローリスク・ローリターンのどちらかを求めることとなります。
また、自ら株式相場を予想することは極めて困難であり、プロに任せたとしても、株式相場を予想することは難しく、ハイリスクを避けるには、結局はローリスクでローリターンの銘柄を選ぶことになります。